ぼくのブログでは、ずっと都度つどに聴いている音楽のことばかりを書いてきました。朝起きてから夜寝るまで音楽を聴いていることは昔から変わりがないのですが、コロナ禍で、もう一つ習慣が増えました。それが読書で、それを支えてくれているのが電子書籍です。
レコードと同じで、本も出会のときめきのうちに手にしたいのですが、書店や図書館に毎日通うことはままなりません。この気持ちと時間の隙間を埋めてくれるのが電子書籍で、現在では、古典的な書籍や、最新刊であれば、まず思い立ったときに購入することができます。その他にも、電子書籍の良いところを並べれば、保存や持ち運びに場所を取らず、結果すべての本を、iPhoneや、iPad で常に持ち歩けるため、信号を待っている程の隙間時間にすら読めること(というよりも、いつでも何度でも繰り返し触れることのできるサブスクカルチャーの環境に飼い慣らされた昨今、むしろ、時間を限ることで、対象に対し真剣に向き合うことができるようにすら感じています。)、画面の読み上げ機能を使って、画面から目を離していても、皿洗いしながらでも読書できること(さらに言えば、Audibleのように、朗読主体のサービスまであったりする訳です。)、文字の大きさを変えられ、読み易くしたり、難読文字を確認できること、難解な言葉の意味や用法を立ち所に調べることができることなどいくつも挙げることができますが、電子書籍による読書生活を考えると、その前提となるデバイスの進化を語らない訳にはいきません。2022年の今ぼくの使っている、iPhone は 13Pro、メインの iPad は Mini6 で、その画面の美しさは、紙の本と遜色ありませんし、むしろ、夜就寝前の読書などを考えると、暗いところでも読めるのは、電子書籍ならではです。小学生の頃から眼鏡をかけていたぼくがどんどん音楽の方に流れてしまい、年相応に読書に熱中できなかったことの根底には、眼が悪いという問題があったように思うのですが、眼が悪くても読みやすいという電子機器の長所が今頃になってぼくに読書の愉しみという人生の恩恵の一つを齎してくれているように思います。
勿論心理や社会問題、経済問題や法的な問題など業務に直結する分野でも、本はぼくに知らなかった大切な知識を植え、ぼくの知見を耕してくれますが、音楽を聴くのと同じで、やっぱり心の渇きを癒してくれるのは、人間の生き方に関わる文学作品や哲学書ですね(反対に、全く楽しめないのは、自己啓発書の類ですかね。)。
論語ではありませんが、「学べば則ち固ならず」で、優れた書物は、ぼくの精神を息返えらせてくれ、また、新しく世界を見ることを許し、(こんな歳で口にするのも憚られるところではありますが、)自分自身に成長の確かな手応えを与えてくれます。
論語は、どこから読んでも、本当に刺さる言葉の塊ですが、極最近では、還暦について、「耳順」と語っているところなどに強く惹かれています。
いい歳をして、すっかりその知見にやられてしまい、このところ次々と様々な論語の本を手にしたせいで、今 ibooks 内の自分のライブラリーを「論語」で検索しただけで、12冊も齧っていたことが判明したような次第ですが、あれこれ様々な論語に親しんでみて、最近一番手に取ることが多いのは、どちらも齋藤孝さんの編になる「声に出して読みたい論語」と「声に出して、わかって、おぼえる!小学生のための論語」の2冊です。齋藤孝さんは、コロナ以前に次男の通っている学校で毎年父母会が企画する講演会に登壇されたことがあり、生でお話を伺い、短時間ながら、その世間の常識にとらわれない人柄にも触れたことがあるのですが、ご自身認めていらっしゃるように小林秀雄さんからの影響なのか、著作の中でも常々身体性ということを強調されていて、腹から声を出すということに拘りを持っていらっしゃいます。この身体で覚えるということは本当に大切なことだと思うのですが、上記2冊とも、発声を前提に丁寧にルビが振られています。また、レイアウトも綺麗な上に、原文もしっかり引用されていて、原文を見ながら、読み下しの発声をすることができるのです(たとえば、安富歩さんの本なども、論語の解釈として、とても貴重なものだと思うのですが、本文中に訳文しかついていないのは残念です。)。
P.S. ついでなので、電子書籍で改善して欲しいところも2点挙げておきます。1点目は、(フォントのサイズや字体を自由にできることは、電子書籍の利点なのですが、)紙の書籍と同じレイアウトで、同じ頁数で表示されるモードも用意して欲しいということです。これは紙の書籍での頁数が色々な局面でしばしば引用されることがあるために参照の便宜を図ってほしいという意図です。
2点目は、筆者にサインをもらうスペースを用意して欲しいということです。これは意外に筆者の目の前で書籍を購入するが多いのですが、その際にサインをもらいたくても電子書籍には、書く場所なくて残念だったことがこれまで何度もあったという実体験に基づくお願いです。実現したら、さらに素敵なのにと思っていますし、販促にも貢献すると思います。
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